オークションで仕入れた低価格車両の現実(激安中古車の裏話)
ここ 5年前くらいから、(2009年時点) 低価格帯の中古車が非常に人気です。(2018年においても同様かな。もはや定着化しているとも)
「薄利多売」を基本としたコスト重視の中古車販売店も増え、特に、過走行&低年式の 込み10~30万円前後で買える車はどこの販売店でもひっぱりだこのようです。
仕入れ先と懸念点
ちなみに、ところでこれらの低価格車は、一体どこから仕入れているのかご存知でしょうか? (いわゆる激安中古車)
そのほとんどが 「業者オークション」。
低価格帯の中古車が売れる・・・ という時代の背景もあってか、各業者オークションでは 「ロープライス・コーナー」と呼ばれる超低価格帯のセリコーナーを設けており、
またこの低価格帯のセリコーナーは、どこのオークション会場でも超人気で~ 成約率も非常に高いんです。
まあこういった傾向は、業界活性化の意味では非常に良い事なんですが、、、
ただ実は・・・ ある意味で、度を過ぎている現象が起こっていたり、場合によっては非常に高度な問題点が潜在するリスクもあり、やや注意しておきたい点も。
裏事情
オークション会場は 「成約率」が命。 (テレビで言う視聴率みたいなモノとお考え頂ければ。。 あと成約で手数料が稼げますからね ^^)
つまりこの成約率を稼ぐためにも、現況、低価格帯のセリコーナーは絶対に外せないコーナーでもあり、またあの手この手で低価格車両の出品車をかき集めている面も。
つまり スクラップ収集コーナー寸前 となっているオークション会場どれだけ増えて来ていることか。。
オークション会場によっては、「ロープライスコーナー(低価格帯コーナー)」に出品された車両は~
もし売れなくても、オークション会場がそのまま買い取ってくれるという待遇のある場合もあり、(つまり、スクラップ屋さん (解体業者)と業務提携し、売れない車は解体車両(資源とか部品とか)として買い取ってしまう)
出品者側 (出品店側)は、出品して売れなくても損のない待遇になっているのです。
という事は!?
明らかにスクラップ寸前の車両も自然とオークションに集まり 出品されてしまう流れが。。。
ちなみにこの事の発端は、2000年代前半くらいから始まった自動車輸出規制の緩和。 緩和と同時に海外からの買付商人(インポーター)が押し寄せ、(専用のバスツアーが組まれるくらいに) 海外で人気の過走行・低年式車を片っ端から根こそぎ買いつけこぞって大量輸出しだし、(裏駐車場へ可動するがスクラップ待機しているようなクルマを主に狙って来てました。 まあいわゆる国内需要の低いクルマ) 次第にその手と波は国内オートオークション会場にまで波及しだし、(低年式車などが激売れ。慢性な玉不足になるくらい)
そこへ目を付けだしたのがオークション会場。 ロープライスコーナーを設立し、より海外インポーターの誘致に力を入れ始め、、(なおこの時、ロープライスコーナーへの出品は原則ノークレーム&出品手数料無料という設定を付け、国内へ存在する低価格車両の積極的な出品を促し、結果的には出品台数も急増 海外インポーターも急増の救世主的存在にまで発展。 ちなみに地方のオークション会場では、ロープライスコーナーのみが外人専用コーナーと化すほどの盛況ぶりだったりも)
さらにその加速が思わぬ加速も呼び、(動けばスクラップ寸前だろうとガンガン買い漁る外人が集まるロープライスコーナーのウワサがウワサを呼び、これまで車屋さんが低需要を理由にスクラップに出していた流れがオークション出品へとシフト開始。 ちなみにこの現状で、スクラップ車両激減の解体屋さんが苦肉の策として買取り値を上げだしたが~ やはり競りの食付きには勝ることは出来ず、自らもオークション会員となってロープライスカーを競り落としでまで解体へ回したり、オークション会場と提携して売れ残りの流れ車両を買取る作戦にも乗り出しだし、しかしこれが意外にも逆効果を生んでしまい、どんなにボロくても売れても売れなくてもオークション出品! といった現状を作ってしまうことに)
※ ちなみにこの流れの副作用として、廃車買取専門店なども続々増加。(スクラップ寸前カーを顧客からも吸い上げ、出品~ みたいな。 なお売れなければ解体屋がお買い上げ~ もしくは独自ルートで海外へ、、 みたいな)
しかも、その流れは次第に国内市場にも浸透をはじめ、、(これまでも低価格帯車両の高い需要はあったが、しかし入手性の低さゆえそこまで浸透しなかったが、ただここまで低価格帯車両が多くオークションへ流れ出すと入手性も高まり、そこに目を付け、低価格帯車両ばかりを集める専門のような日本のクルマ屋さんも乱立をはじめ。。)
次第に海外インポーターに代わるくらいまでに成長を遂げ、
昨今のロープライスカー・ビジネスの確立へと至る。
まあそんなクルマが仕入れの原点なわけですから、リスクは容易にくみ取っていただけるかと。
もっともっと裏事情
なお、そういった市場が確立してしまうと、、 中には巧妙なリスクも伴い増加する傾向も。
例えば・・・ まあ言葉で説明しても難しいので、とある中古車屋さん (出品店側)の会話をシュミレーションしてみると、
部下 「査定0円の下取りが入ったんですけど、どうしますか?」
上司 「外装は大きな損傷もなくぼちぼちキレイだから、オークションの低価格コーナーに出品しようか」
部下 「あ、でもこの車、エアコン効きませんし、たまにエンジンの調子が悪くなる事もあるそうですけど・・・」
上司 「それは気にする必要はないよ。 エアコンはガスでも入れてみて一時的に直っていればOK。 エンジンの調子は常に悪いわけじゃないから、出品時の検査で調子が良ければ何も問題はないよ」
部下 「あ、でも、車の値段が値段なんで(安い)、落札店からクレームがあったら利益の吐き出しになっちゃいません?」
上司 「お~ それは全然問題ないよ~ 低価格コーナーは原則ノークレームだから、出品時に異常を勘付かれなければ~ 売れた後は何も考えなくても良し! 売り逃げしたモノが勝ち! と。。。 エンジンが壊れていようと、オートマが壊れていようと、落札はあくまで落札店の判断が全てだから、気付かれずに落札されてしまえばこっちのもの! 応急処置で一時的に騙せればこっちのもの!! 何があってもクレームは一切受けなくても済むんだよ」
部下 「へ~ なんだか騙し合いみたいですね~」
上司 「そうかもしれないな。 相手は業者だから、消費者小売のように気を使わなくて済むし」
部下 「あ、でも、もし調子の悪さが勘付かれて、落札されなかったら、、、 出品手数料が無駄になっちゃいません?」
上司 「おーおー それも大丈夫! 低価格コーナーだと売れなかったら出品手数料は無料だし、またなかなか売れなかったら~ オークション会場に直接買い取ってもらえるから、先ず損が出る事はないんだよ。 もしマグレでも売れたら(落札されたら)利益も出るし、売れたらウルトラ・スペシャルラッキー みたいな ^^」
・・・と。
つまり、こういったクルマが知らず知らず消費者へ回っている可能性も。
現状渡し販売の脅威
ちなみに、これまでの話はそもそものクルマの話でしたが、
それらに付随し、さらに事を重大にする懸念点も。。
それが現状販売。
そういったクルマを販売する業者、もしくは在庫の多くが現状販売でしょう。
なので無点検整備による質の悪い車両の横流れリスクはもちろんのこと、(これについては先述しましたね)
さらにもし万が一の逃げ場もほぼ皆無に近いとも言え、、(あっても限定的、もしくは期待薄)
というわけで最終的には踏んだり蹴ったりの買い物となるリスクもはらんでおり、(ここら辺りのオプション事項が当該リスクをさらに引き立てているとも)
まあとにかく出来るだけのご注意を。
これも何かのご縁。当ページに寄ったついでに関連記事にも寄ってみては?
⇒ 正面からウラ本音まで~ 業界20年超の車屋さんが語る中古車購入ガイド。(現車チェックから契約まで根掘り葉掘りガイド)