事故歴、修復歴発見方法。リアトランク編① 手がかり
どうも。 一般財団法人 日本自動車査定協会認定 ”中古自動車査定業務実施店” の車屋さん、かつ中古自動車査定士資格保有の管理人です。
えー これまでも、本編では総合的な事故車判別方法などについて触れてきておりますが、
一箇所集中講座的な解説はなかったということで~
今回ちょっと、特定部位の査定に特化して、集中講座を特集してみようかな、、 と。
今回はリアトランク周りの査定編。 (査定車両は上記のトヨタノア。 この車両を使って、修復歴発見に至るまでの順を追って解説して行きますね)
先ずは外周チェックから
通常、査定業務においては スタート地点では情報ほぼゼロです。
査定前のヒアリングで、オーナーから過去の修理履歴などを引き出し、怪しい部分の目星を付けることも出来ますが~ (以前、事故などで修理された部分などありますか? みたいな)
クルマの全てが全てワンオーナーとは限りませんし、あえてこちらの出方を伺うように 知らんぷりされることも多いですから。 (ちょっと覚えてません。 分かりません。 みたいな。 査定ミスしてもらえればラッキーですからね ^^;)
先ずは外装をぐるりと一周。
今回テスト車両では意外とボディ状態良好。
これだ! という決定打は見当たらず。。
ドアやボンネット等を開けてみる
続いてはドアなどを開け、表からではチェック出来ない しかし容易にチェックできる部分をチェック。
んん!? バックドアのヒンジに怪しい箇所発見!!!
ボルト回りの塗装が割れ、明らかに工具がかかった跡が。。(工具がボルトに食い込み、塗装が削れた跡に錆びもあり)
おそらく過去、バックドアを一度取り外したことがあるもよう。
すかさずこの辺り(リアのトランク周り)をより細かく調査することに。
内装の余波らしきモノも確認
通常ここに余波が見られる事はないが、このクルマはたまたま妥協して修理したのだろうか。(安く修理する目的で、交換する必要なしと踏んで交換しなかったもよう)
おかげで通常では考えられない内装の割れを発見。(ちょうどトランクルームの収納の蓋を取ったところ)
おそらく事故の際、後ろから押されてここに力が集中し、割れてしまったと想定。
ドア金具の周りにも何だか不自然な折れ跡あり。
だんだんとその怪しさも濃くなってきました。
ウェザーストリップを取り、パネルの接合部をチェック
ウェザーストリップを外し、パネルの接合部もチェックします。 (パネルとは、ドアやボンネット、フェンダー、ピラーやフロア等といった一枚モノのボディパーツの事)
むむ! クランプ跡?
これは間違いなくクランプ跡。
これで間違いなくリア周りを修理していると判断。
但し、ここまで来てもまだ修復歴は確定しません! (修復歴の条件を満たしておりませんので)
もうちょい修復歴の確定要素に迫って行きます。
ちなみにトランク周りの修復歴の確定要素は—
① トランクフロア(簡単に言えばスペアタイヤ等が収納されている床)に事故が起因すると思われる余波(凹みや波打ち等)がある、もしくは修理歴がある。 ② トランクフロアが交換されている。 ③ トランクフロアのパネル接合部に修理歴等がある。(主にリアエンドパネルとの接合部) ④ トランクフロアが割れている(亀裂)。 おおまかに言うとこの4つ。
※ 但し、これらはあくまで理論上かつ広義での要素です。 現車は時としてグレーなものも多く、また事故を起因しないものや軽微なものであれば除外されたりと、、 明らかなものを除いては実際の判断基準は言葉で表せないほどに難しいことも多く、一応その辺りは重々予め。
※ なお上記でクランプ跡が見られている箇所は、構造用語でバックパネル(リアエンドパネル)という箇所。 ちなみにこの部分は修理・交換されていても、それ単体では修復歴にはなりません。 一応念のための補足としてまでに。
※ 関連: ⇒ 構造用語は別途こちらを参照
またこれだけの要素では、もし修復歴有だとしても~ その修復の度合までは分かりませんから、
その辺り探究する意味でももうちょいと。。