大きなキズ有りヘコミ有りの車の下取り査定に注意
日本自動車査定協会(JAAI)登録店店主、認定査定士のsadaです。
私も業界20年。ふと最近思い返してみると、、
下取り車として入庫される車のほとんどが! やはりかなり高い確率で何処かしらキズ付いていたり凹んでいたりの状態なんです。
まあ愛車を買い替えるわけですから、色々と事情もおありかと存じておりますが、
ちなみにそんな傷アリ凹み有りの車でも、特に大きな傷や凹み。車庫の角にぶつけた時のモノ、何処かしらの壁でガリガリやっちゃってしまったもの、、、 等々、事故として板金修理に出すまでもなく、ただ乗るだけなら支障もなく そのまま乗っちゃっていよう! と、
しかしこれくらいまでの規模の場合となると、その下取り査定にはかなり細心の注意を払われておいた方がいいでしょう。
何故ならば!
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え?傷や凹みって、減額の度合は一定ではないの?
大きな傷や凹みこそ! 車屋さんにとっての大きな下取り査定の減額チャンス到来だからなんですね~ ^^;
え? 査定って、キズや凹みは減点法でしょ? だから減額される度合も一定なのでは??
それは半分正解ですが 残りの半分は間違いです。
先ず自動車メーカー系のディーラーさんなどでは、そういった加減点法によっての査定方式が主となっておりますので、きっちり「型」に沿った査定をされるお店同士では、いずれもほぼ一定の度合での減額かと思われます。
【加減点法とは?】
キズや凹みはもちろんのこと、タイヤの溝やらオプションの有無やら全てを点数化し、最終的にはどの店のどの査定士が査定しても「その車の査定評価点数」が同一になるように制定されている査定方法の一種で、ちなみに最終的に出る査定価額は、その点数と 各お店が採用する基準価額(相場表)などから決定される。
なおこういった基準は 日本自動車査定協会(JAAI)による中古自動車査定基準 として業界照準と扱われておりますが、しかしこの基準には全く強制性はなく、JAAIの会員(認定査定士も含む)であってしてもキッチリ厳守されていない事も多く、また全国半数以上の車屋さんでは改変オリジナル化したものとか そもそもまったく違う基準で査定しているのも現実であると言えるでしょう。
しかし、これらはあくまで「型」に沿った査定をされている場合に限られるわけで、こういった型にはまらない、そもそも減点法すら使わないディーラーさんもかなり多く存在しており、
そういった場合では先ず一定幅の減額なんてありえないと思われて下さい。
それと もしきっちり「型」に沿った査定をされていても、そのお店で基準として採用されている基準価額(相場表。価格ガイドブックとか赤本とも)から違えば結果も異なってくるわけで。。。
なお、ここではまだ加減点法崩れ、もしくはオリジナル化(一定のマニュアル化)したものを使っての査定はまだまだ序の口だと思われて下さい。
特に気を付けるべきは 中古車屋さんで多い「オークション相場方式」
ここで特に気を付けるべきは 多くの中古車屋さん業界で採用されている「オークション相場基準」による査定方式。
これだと 場合によってはかなりの差異などが出て来る事が予想されます。(ちなみに一部の新車ディーラーなどでも採用例が見られるようです)
【オークション相場基準による査定方式とは?】
まず、ここ1ヵ月分ほどの過去のオークション落札結果などを基に、査定対象とする車に似通った(グレードや年式・走行距離、内外装の評価や装備・ボディカラー等)落札結果をピックアップして行き、それらから下取りとして成り立つ価格を導き出す かなりアバウトな査定方式。
ちなみに壊れている部分とかキズ凹みに関しては、おおよそ「実費」を予測しての減額方式となるのも特徴のひとつかと。(⇒ 関連: 査定基準について)
で、具体的にはどのくらいなモノなのかと申しますと、
ほぼこういった査定方式による減額では、先ず定価以上のボリュームから減額を試みようとするのが多数業者さんでは定石中の定石としております。まあお客様に提示する減額をわざわざ原価なんかで言ってしまうと後々困るのは販売店ですし、何より定価換算だと利益も望めちゃうからです。正に一度で二度おいしい一石二鳥。オークション相場方式では細かいモノサシなんてものは存在しておりませんから、減額はほぼお店の言い値が基準ですし。
実際のベースとなる査定価額が100万円で、キズの修理代が12万円だとしたら、(業販価格。もしくは原価)
お客様への表向きの定価見積りでは「修理に20万円はかかりますので、20万円、、、 まあせっかく購入して頂けるのですからサービスして19万円の減額。81万円の下取り価格とさせて下さい」。
これで通常の下取り価格よりも7万円多い利益(19万-12万)が確保されました。(もちろんその分、お客様の負担は増えている(損している?)と見て問題ないでしょう)
ちなみに大きな傷や凹み程度では、修理しても修復歴などにならない場合がほとんどだと思われますので、こういった補修程度だと査定DOWNの要素にはならないでしょう。(なので7万円は丸々利益に)
まさにこれは下取りする側にとっては、またとない大チャンスとも。
ちなみにここでさらに着目すべき点はその定価。同じ板金修理でも安く直る工場もあればめちゃめちゃ高い工場もありますから、
まあここでの減額の度合は またさらにお店によっても大きく異なってくるでしょう。
もっと大きな利益を求め定価以上のマージンを取ろうとするお店だって。(以下参照)
もっとヤバい?ここからが今回の本題とも言うべきポイント
それともっとヤバい?のが、まあここからが今回の本題かな。
大きな傷や凹みに乗じての過剰な演出&ビッグマウス作戦とでも言っておきましょうか、
あ~ これはちょっとキてますね、、、(← 何が?)
さすがにここまで しかもこの箇所の大きな傷や凹みだと、本当に申し訳ないですがかなり減額の対象となってしまいます。(← 過剰な演出で、かつあまり根拠のない言い回しも加え、お客様にそもそもあった減額のイメージよりももっと大きな減額があっても仕方がないイメージを強く持たせる。また共感させる)
通常なら査定70と言いたいところですが、それじゃあうちで買って頂くメリットがない! 75万円ならなんとか・・・(← 何マウス?よくあるオトク商法歓喜持ち上げ作戦)
先ほどの例だと さらにその利益は13万円まで拡大。もちろんその拡大した分はさらにお客様負担となって。。
そもそも大きな傷や凹みがある場合には、ほとんどのお客様はある程度までの減額は覚悟しています。致し方ないと思っています。なのでそのお客様の心理を上手くつき、さらにその「ある程度」をもっともっと大きく広げて 事実上感覚を麻痺させるような形で減額に納得させてしまうという秘技。
それと、、、
ウソは言わずして、お客様に勝手に事故車(修復歴が付いてしまう)だと思わせてしまえ作戦。
あ~ ここ事故っちゃってますね。(← わざとらしく事故を連発) これはちょっとかなり査定に響きますね。。。 とか、
あえて事故という言葉を出す連発する事により、これは査定上重大なキズや凹みだと思わせ、大きく減額させてしまうという秘技? 秘技と言うより荒技かな。
そもそも事故という扱いはかなり難しいですが、
業界や市場で良く言われる大きな減額対象となる「事故歴」とか「修復歴」とか言う類いは、車両の骨格部分などに大きく重大な欠陥、あるいは損傷を受け修繕したもの のみであって、
車庫入れ中ガレージにぶつかってバンパーを交換した(これも一応事故)とか、徐行での離合中、壁でフェンダーを大きく擦って凹ませて板金修理した(これも事故)、、、 といった程度では、まずここで言う「事故歴」とか「修復歴」に該当しません。(板金塗装や交換修繕さえすればほぼ査定に響く事は無いと言えるレベル)
しかしこういった難しいことはなかなか消費者ユーザーには浸透し難く、実際 事故の全ては減額の対象と勘違いされているユーザーも多く、
そこへ!車屋さんから「事故」と追い打ちをかけるように言われれば当然、これら事故歴とか修復歴などと完全に混同してしまい、大きな減額も致し方ないと錯覚してしまうわけで。。。
なおこの荒技をまともに食らってしまうと、その損失の度合も半端ないです。(しかしその代わり営業マンは実績&利益ウハウハ給料もウハウハ(歩合給なら)かもしれませんが)
参考までに、
この後者の荒技は、オークション相場方式での査定だけでなく、加減点法での査定でも見られるでしょう。加減点での査定票を付ける前に筆を止め、これはちょっと、、、 と、事故ゆえ評価しても価値はちょっと~ みたいな演出で、わざとらしくこちらを伺うようなパターンとか。
ちなみに、これら前者の秘技も後者の荒技も 意外とよく見られます。
これまで業界20年。 まだまだ直しても数十万円の価値は残ろうかという下取り車がスクラップ同然の価値で下取りされたり、、、 なんてのはけっこうザラに見て来ていますね。。。
というわけで、もし下取り車に大きな傷や凹みなどが有る場合には!細心の注意をもって査定に挑みましょう。
減額の餌食にならないように、減額で損をしないためにの対策
え? 何かこうもっと具体的な対策とかはないの?
そうですね。一応対策としては何方面か御座いますが、ただ一般ユーザーの方にはなかなか事故とかの区分を見分け そこを突いていく対策方面は困難ですので、またもし見分けられたとしても根本的な解決策とも言えませんので、(定価修理での見積り系とか そもそも査定方式や査定基準の違いなどでの差異には全く効果は望めないでしょう)
まあこの方法が一番確実かな。
下取り査定だけに頼らない事。一つのお店での査定だけで納得してしまわない事。それと結局は最終的な結果。(査定価格)
これに尽きるかと。
また参考までに。